日本磁気共鳴医学会大会に参加してきました


少し前のお話になりますが,9/10(金)~9/12(日)の期間で開催された,日本磁気共鳴医学会大会(日本中のMRI好きが集まる学会と思ってください)に参加してきました.参加といっても,本年度はつい先日まで日本中でコロナが蔓延しておりましたので,現地参加はせず,Webで聴講のみさせていただきました.
概念図-MRI-

概念図-X線写真撮影-

概念図ー一般的な写真ー
 先にMRIの写真の撮り方を簡単に説明します.一般的なカメラでは,写真を撮られる対象者がいて,その人に当たった光をカメラの中に収めることで写真ができあがります.一般的に「レントゲン」という言葉で表現される,X線を使った写真では,写真を撮られる対象者がいて,その人に当たったX線をカメラの中に収めることで写真ができあがります.それではMRIの写真はどうかというと,MRIでは,「ラジオ波」という,特殊な電波を写真を撮られる対象者に当てて,そのラジオ波によってその人がどのように反応したか,それを写真にしております.
私は特に「マルチパラメトリックMRI」という分野に興味を持っており,それに関連した内容を受講しました.
 今までのMRIの写真は,ある写真を撮る条件で,あるコントラスト(白黒の程度が体の部位によってどのくらい異なるかということです)を強調した写真を得る,というのが大前提でした.実際には,患者さんの病気の正体を見破るために,「あるコントラスト」を強調した写真が複数必要(例えばひとつめの写真で水を強調した写真,2つ目の写真で脂肪を強調した写真,3つ目の写真で血管を強調した写真・・・)なために,結果的に検査時間がかかっておりましたが,その欠点を補う新しいツールがマルチパラメトリックMRIです.
 マルチパラメトリックMRIでは,ひとつの写真を得る条件で,後処理により複数のコントラスト強調画像を得ることが可能で,検査時間の大幅な短縮が可能な技術です.しかも,今までのMRIでは,白い・黒いといった情報のみしか得られませんでしたが,マルチパラメトリックMRIでは「この組織は数値で表すとどのくらい」といった情報まで得られます.
今回説明した通り,MRIはとても奥深く,非常に面白い分野です.今回の記事で,少しでもMRIの面白さがわかっていただければ幸いです.